すべてのインプラントは初期固定が得られた。 フィクスチャー(インプラント体)埋入後7ヵ月後にヒーリングアバットメントを装着。
平成12年7月、最終補詰物を装着した。 平成12年3月、左側上あご小臼歯部から大臼歯部、右側上あご側切歯部および小臼歯部のインプラント治療を主訴に来院。

口腔内所見では左側第1小臼歯から第2大臼歯と右側第1小臼歯は欠損、右側側切歯はデンタルカリエス(虫歯・C4)であった。 オルソパントモエックス線検査およびCT検査(画像診断)を行い、同年4月、静脈内鎮静下において右側側切歯抜歯、左側上顎洞挙上術とインプラント埋入手術および右側側切歯部と小臼歯部にインプラントを埋入した。
左側骨幅が不足していたのでオステオトーム法(スプリットクレスト)で骨幅を作製し、さらに左側上あご臼歯部は歯槽骨量が約6mm残存していたが、上顎洞粘膜を挙上してPRPグラフト材を充填、インプラント3本を同時埋入した。 PRPグラフト材でインプラントを完全に覆うように充填した後、チタン薄膜で固定した。
また、上顎結節部にもインプラントを埋入。 インプラントは機能しています。
自骨の一部とPRPを併用することで骨密度や骨の早期成熟がみられることが明確となりました。 当時はPRPが日本に紹介されて欧米での異種骨(ウシ)との併用でインプラントに応用されている論文は存在しましたが、自家骨とPRPのみでインプラント治療を行っている報告はなく、インプラントの埋入時期の判断が困難でした。
また、インプラントを埋入したときの骨が脆弱であったため、埋入後は慎重に観察して上部構造(人工歯)を作製したので治療期間が長期になりました。 課題としては、機能的には問題がなくても歯槽骨が高度に吸収している場合は隣在歯との審美性に問題が生じました。
今後は審美回復の新たなる工夫を考えたいと思います。 残存歯槽骨量が5mmあれば上顎洞挙上術後とインプラントの埋入を同時に行うことが可能となり、予後が良いこともわかりました。
PRPと自家骨での骨の再生を行った場合、術後4ヶ月が一番安定しており、また、PRPの軟組織の創傷の治癒過程が早く、約半年で治療終了が可能となります。 同時にインプラントを埋入したほうが、造成した骨の吸収が少ないことを学びました。
また、80歳という高齢の女性でも骨造成、骨再生が可能で安全に行えることが実証されました。 今回、紹介しているケースはあくまでも最終的な補綴が終了し、患者さんの許可を得たものです。


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